最初から皮肉な物言いで
恐縮だがもしこの映画の
長い、執拗な
レズ絡みに
カンヌの審査員が衝撃を受けたのなら
彼らが、
神代の「赫い髪の女」を観たら
衝撃死するだろう
「暴行切り裂きジャック」を観たら
悶絶のあまり失禁するだろう。
この映画は
完全なにっかつロマンポルノだ。
つまりは
SEXを通して人間という生物の感情の不可思議を描く
これは
にっかつロマンポルノが
長年に渡ってやってきたこと
もし
この映画で感動した人は
ロマンポルノを見て欲しい
クロード・ガニオン監督の
「Keiko」という映画があった。
日本人のけいこという名の独身女性の日常を描いた作品
ストーリーはほとんどない。
本当に
日常があるだけ。
でも
その日本人のOLの日常が
カナダ人であるクロード・ガニオン監督には
面白く、奇異に映ったのだろう
実際、
それが切り取られると
見ているこちらも刺激的に映った。
それはどこか
覗き見的な思考もある。
何もしていなくても、
見ている相手が
見られていることを知らなければ
面白い。
「アデル、ブルーは熱い色」という映画も
アデルという女の子の日常から一切、目を離さない。
そこにある日常、
つまりは食って、寝て、仕事して、オナニーして
通勤して、食う。
それらが、
徹底的に映される。
だから上映時間は3時間。
だから
カンヌで主演女優のアデル・エグザルホプロスが
同時にパルムドールを取ったのは必然だ。
つまりは
この映画は、
主役の女の子だけの映画なのだ。
でも、
悲しいかな
ヒロインの名前まで本名と同じに変えられた
このアデル・エグザルホプロスという女優は
この映画から、
一生逃れられないと思う。
ちなみに
共演のレア・セドゥの受賞は
ついでだと思う。
確かにかっこいいしうまい演技だったが
この映画と同化はしていない
あくまでも女優として演じていた
だから
この後も女優として仕事はできるだろう。
でも
アデル・エグザルホプロスはむりだろう。
完全にこの映画と同化している
それほど
この映画における彼女はすごい。
この映画のSEXシーンは
とても
ありきたりでつまらない
いくら性器をだそうが、
長かろうが、
リアルではない
他のアデルの日常とかい離している。
それなら
実際にふたりがレズっているところを
隠し撮りすればいいのかといえば
そうではない。
具体的にどういう表現ならふさわしいと
問われたら
ロマンポルノを100本見てくださいとしか
いえない。
そこには
SEXの奥にある
人間の深い吐息があります
息詰まるような
SEXの
限界が見えます

